部下の退職サインを知る|離職率を下げるために上司ができること

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テレビCMや電車の中吊り広告を見ていると、転職サイトや転職エージェントの広告を見かけることが多くなってきました。

広告のメッセージを見ると、とてもワクワク感に溢れた内容になっており、誰もが「一度話だけでも聞いてみようか…」と思ってしまう魅力的な内容で溢れています。

また、いざ会社を辞めるときには「退職代行」なるサービスも利用でき、あと腐れなく会社を辞めることができるのが実際のところです。

最近の転職ブームは組織を運営している幹部からすれば「せっかく採用した新卒が辞めてしまって採用コストがムダになる」「そもそも若手が辞めると仕事がまわらない」など、悩みの種でもあります。

そこで今回は、退職を考えている部下の兆候を見抜く方法や、普段のコミュニケーションから退職リスクを下げるコツについて、経験談を交えた情報をいくつかご紹介します。

退職を考えている部下の前兆5つ

部下の離職率を下げるためには、部下ひとり一人の普段の状況を把握しておく必要があります。

「最近元気がないな…」「以前はよく会議でも発言していたのに、最近は黙ることが多くなったな」など、些細なサインを見逃さずにフォローしていくことが大切です。

1.有給や半休を取ることが多くなった

2019年の4月からは、年5日以上の有給休暇取得が義務付けられたため一概にはいえませんが、退職の兆候としてもっとも顕著なのは「有給や半休を頻繁にとることが多くなる」という点があげられます。

すでに転職活動をしている場合は、転職エージェントとの面談や転職先企業との面接が平日におこなわれることも多いため、どうしても平日の有給取得が多くなります。

部下が有給取得をする場合、原則として理由は聞いてはいけません。

有給取得は労働者の権利であり、基本的にはいかなる理由があっても有給申請を拒否することはできないからです。

ただし、繁忙期の業務に致命的な支障をきたす場合など、雇用側が時季変更権を行使する場合は、状況判断のために理由の確認をしても問題ありません。

2.与えられた仕事に飽きてしまう

多くの会社では人事ローテーションを実施していますが、一般的に5年以上同じ仕事を続けているとマンネリ化してしまい退職リスクが増加します。

優秀な部下になればなるほど決まった業務を依頼していることが多く、毎日ワンパターンな仕事をさせられる部下にしてみると「転職を考える」のも無理はありません。

ただ、同じ仕事をしていたとしても「業務改善のための創意工夫をしている」「生産性向上のために新しい要素を入れようとしている」など前向きな姿勢が見られる段階なら、まだまだ退職リスクは低いかもしれません。

毎日同じ業務でも「どのような姿勢で仕事に取り組んでいるか」、毎日のコミュニケーションから部下の気持ちをくみとることが大切です。

3.あいさつをしなくなる

そもそも朝から元気な「あいさつ」をするのは人間にとってパワーのいることです。

しかし、会社へのロイヤリティーがあるうちは「元気がない部下と見られるとマイナス評価になる」「職場を暗くしてもなんだから、朝くらいは元気にあいさつしよう」と、きちんとあいさつするのが普通です。

しかし、退職リスクが高まると、上司や同僚からどう見られようとかまわなくなるため「出社時にあいさつをしない…」または「あいさつの声がとても小さくなる」などの兆候がみられます。

4.ミーティングで発言をしなくなる

退職リスクが高い部下の特徴としてもっとも顕著なのが「発言機会が減ること」です。

社内ではさまざまなミーティングがおこなわれたり、朝礼などで意見をもとめられることも多いのが普通ですが、退職リスクが低いあいだは、否定や肯定などなんらかの発言があるものです。

ただ、さきほどのあいさつと同じく会議での発言はそれなりの準備やパワーも必要です。

退職を考え始めた部下が「わざわざ準備をして発言する」などあり得ませんから、ミーティングの際の発言回数などもチェックしたほうがいいでしょう。

5.妙に明るくなった

人は目指すものができたときや、また自分の待遇が改善されることがわかったときは目の輝きが変わるものです。

毎年の人事評価で高評価を得ることがわかった部下が急に元気なるのと同じく、転職により「やりたい仕事が見つかった」「給料が増える」など、将来に対する展望が明るくなると、部下の表情も晴れやかになります。

人の表情の変化が変わる原因はひとつではありませんが、普段あまり明るく振舞わない部下が急に明るくなったら要注意です。

退職のきっかけは「未然に防止できるものばかり」

以下は大手人材コンサルティング会社のエン・ジャパンが実施した退職に関するアンケートの結果です。

「退職を考え始めたきっかけを教えてください」という設問に対し、もっとも多かった回答は「給与が低かった」というものですが、そのほかには以下のような回答が並んでいます。

  • やりがい、達成感を感じない…全体の36%
  • 企業の将来性に疑問を感じた…全体の35%
  • 人間関係が悪かった…全体の27%
退職を考え始めたきっかけを教えてくださいというアンケート結果の画像|KEN'S BUSINESS|ケンズビジネス|職場問題の解決サイト中間管理職・サラリーマン・上司と部下の「悩み」を解決する情報サイト
退職を考え始めたきっかけを教えてください

引用元:エン・ジャパン公式サイト

退職きっかけの「給与」についてはどうすることもできないかもしれませんが、それに続く「やりがい」「達成感」「将来性」「人間関係」などは、どれも上司と部下とのコミュニケーションで未然に防げるものばかりということがわかります。

【注意】飲みにケーションは逆効果

では、上記のような「退職の兆候」が見られたならどうするか…ということになるわけですが、正直なところ部下の退職意識が表面に出るころに対策を講じても「引き留めは不可能」です。

たとえ引き留めることができたとしても、結果として個人としてのパフォーマンスは十分発揮されず、組織としての成長は鈍化します。よく、部下とのコミュニケーションを深めるため、「飲みにケーション」に情熱を注ぐ上司がいますが、個人的にはあまりおすすめはしません。

そもそも退職意向が高まっている部下を飲みにさそったところで時間とお金の無駄です。

もし優秀な部下と引き続き一緒に仕事をしたいなら、普段から部下との面談時間を設定し、キャリアプランなどを一緒に考える時間を作るべきです。

忙しい幹部層になればなるほど部下との時間はとりにくくなるものです。しかし、どんなに忙しくても「部下との面談時間はなによりも優先されるべきもの」と位置づけ、最低でも半年に一回…理想は3ヶ月に一回は部下との面談を30分以上もつべきです。

効果的な面談テクニック3つ

最後に部下の気持ちをくみとって退職リスクを下げるための「効果的な面談テクニック」もいくつかご紹介しておきます。

1.真正面には座らない

オフィス部屋の画像|KEN'S BUSINESS|ケンズビジネス|職場問題の解決サイト中間管理職・サラリーマン・上司と部下の「悩み」を解決する情報サイト
斜めポジションで緊張をほぐしましょう

どうしても上司と部下との面談は緊張がつきもので、部下だけではなく上司も緊張するものです。

面談をする場所としては小さなミーティングルームや打ち合わせブースなどが想定されますが、できれば部下の右側…つまり部下から見て斜め前に座るように心がけましょう。

人間は相手が真正面に立ったり心臓がある左側に人がいると、どうしても緊張してしまうものです。

すこしでもリラックスして面談をしたいなら、ぜひ斜めポジションを試してみて下さい。

2.面談した内容はメモしておき、次回の面談に役立てる

部下との面談のときには、ぜひ「伝えたこと」「聞いたこと」をこと細かにメモするようにしましょう。

そして次回の面談のときには、そのメモを見返すようにしてください。筆者がマネージャーとして部下60名の面談をしていたころは、A4用紙にひとり一人の面談メモを書きとめておき、面談時には大きなファイルを持ち歩いていつも面談ルームに向かっていました。

そして面談時には「3ヶ月前にはこんな悩みを抱えてたけどその後はどう?」と振り返るようにしていました。上司も部下も人間は忘れる生き物です。

せっかくの面談を有益な時間にできるよう、面談メモを最大限活用してみることをおすすめします。

3.次回の面談日を約束する

面談が終わったら、おおよそでもいいので次の面談スケジュールも伝えておきましょう。

次回スケジュールを伝えるのには「忙しさにかまけて面談をスキップするのを防ぐ」「伝えたこと、聞いたことがムダになるのを防ぐ」という効果があります。

人間は自分に甘い生き物です。面談の重要性がわかっていてもついつい忙しいと後回しになるもの。

次回の面談スケジュールをコミットしておくことで、上司は部下からの要望を解決するために努力できますし、部下も上司から言われたことを改善するように努力できるはずです。

まとめ

上司にもとめられるのは上司自身の個人スキルではなく、部下のパフォーマンスを最大化し組織として成功をおさめることです。

部下の気持ちをくみとって改善すべきところは改善し、また業務をマンネリ化させないように工夫することは上司の仕事です。

ともにひとつの目標に向かって働いた結果、得られるものが「報酬」であっても「やりがい」でもなんでもいいと思います。

とにかく、優秀な部下と共有できる目標をもつこと、そしてその目標達成に向けて部下と一緒になって頑張れること、これが退職リスクを下げる一番の対策なのかもしれませんね。

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