部下を持つ管理職やチームリーダーは、
- メンバーのモチベーションを上げるにはどうしたらいいのだろう?
- 以前はやる気満々だったのに、最近はやる気がなくなってきたメンバーがいる…
などなど、部下のモチベーションに関する悩みは尽きないものです。
今は「楽しく仕事をしたい」という時代と言えます。
辛くても我慢をするといった精神論の時代は終わったと感じられている上司も多いのではありませんか?
部下のモチベーションはチームのパフォーマンスに大きな影響を与えます。
上司であるあなたの言動によって、知らず知らずのうちに部下のモチベーションが下がり、パフォーマンスが低下しているメンバーがいるかもしれません。
モチベーションの低下により優秀なメンバーが会社を去ってしまうこともないとは言えないのです。
今回は部下のモチベーションを上げるために、上司がすぐに実行できる3つのアクションをご紹介します。
明日からでも始められる!メンバーのモチベーションを上げる3つのアクション
アクション1.メンバーの達成動機の確認
皆さんは、「達成動機」という言葉を聞いたことがありますか?
達成動機とは、ある課題や役割を達成したいと思う気持ちのことです。
このモチベーションを正しく理解していないと、仕事の割り振り方でメンバーのモチベーションを損なってしまう可能性があります。
こうなってしまうと、上司であるあなたが、部下を褒めたり声をかけたりといった対策は効果が薄くなってしまいます。
達成動機の強さは人によって異なる
より効果的に人を動かすためには、達成動機の強さに応じて仕事の割り振り方を変える必要があります。
- 達成動機が強い人には: 頑張れば達成できる難易度のタスクを与える
- 達成動機が弱い人には:本人の能力で十分に完遂できる程度のタスクを与える
このように、達成動機のレベルに応じて仕事(タスク)を与えるのが効果的なのです。
さらに詳しく見ていきましょう。
達成動機が強い人の傾向
達成動機が強い人は、やりがい・チャレンジし甲斐のある仕事を求めます。
成功の可能性が限りなくゼロに近いミッションや、誰にでもできるような仕事(タスク)ではモチベーションが上がりません。
達成動機が弱い人の傾向
達成動機が弱いタイプは、チャレンジすることが苦手なので誰でもできるような仕事(タスク)や、今の自分の能力で問題なくこなせるような仕事を好みます。
また、達成の可能性がほとんどないような難しい課題を好む傾向があります。
これは、「失敗しても仕方がない」と無意識に思っているからこその行動です。
あえて困難なタスクを望む…これは、彼らが無意識のうちに「たとえ失敗しても仕方がない」と感じているからです。
心理学的にはセルフ・ハンディキャッピングで説明できそうです。
セルフ・ハンディキャッピングとは、あらかじめ言い訳をして自分自身にハンディキャップを課すこと。失敗しても自尊心が傷つかないし、成功したら「ハンデを乗り越えた自分はすごい」と快感を得られます。
StudyHacker
こういった達成動機が弱い人には、今の能力で問題なくできる仕事を依頼し、「少しでもできるようになりたい」という成長意欲を刺激することが大切です。
いずれにせよ「失敗を許容する」雰囲気が大切
どちらのタイプの場合も、失敗を恐れないと感じてもらえるための雰囲気作りが大切です。
うまくいかなかったときに、責めてしまうような雰囲気では、部下も挑戦し続けるモチベーションを失ってしまいます。
挑戦というアクションを起こしたこと自体を評価する仕組みをつくり、「こういう風に評価します」とあらかじめ示しておけば、どちらのタイプの人も前向きに課題に取り組むことができるでしょう。
アクション2. 働く意味の共有=社会的使命感の醸成
働く人にとって、日々の仕事に意味がないと感じることは辛いことです。
意味がないと感じる仕事は、仕事へのモチベーションを下げてしまいます。
疲れて帰ってきて、一息ついたときに「なんで働いているんだろう」と思う人はたくさんいます。
そんな人たちのモチベーションを上げるには、社会的使命感を持たせるのが一番です。
モチベーションを上げるためには、社会に貢献できるような仕事の意味づけをする必要があります。
松下電器の「水道哲学」
それは、松下電器(パナソニック)の創業者である松下幸之助氏が提唱した「水道哲学」に見ることができます。
このように考えたのです。
個人の成長がモチベーションになることはよくありますが、仕事の充実感よりも無意味感が勝ってしまうと、それだけではモチベーションが保てません。
そのとき、社会的な使命感が部下たちの背中を押してくれるのではないでしょうか。
今は「国のために働こう」という時代ではなく、「個人の幸せのために働く時代」と言えます。
そのため、自分の仕事が人々の生活や幸せの向上に役立っているという実感があれば、日々の仕事に意味を持たせ、モチベーションを高く保つことができるでしょう。
アクション3.効果的に褒めよう
頑張ったことが認められれば、誰でも嬉しいものです。
自分に自信のない若い社員も多いですからね。
私がコンサルティングしている会社によっては、社長自らが社員のモチベーションを上げるために、日々の仕事ぶりをメールで伝えているところもあります。
そのようなメールを受け取った人は、「会社が自分の仕事を見て評価してくれている」と思うと、やる気が湧いてきます。
- 失敗してもチャレンジしたこと自体を評価・賞賛する
- 優れたパフォーマンスに対しては、みんなの前で表彰する
こういったことも部下に響く褒め方の形です。
褒め方のポイント
ここでは、メンバーのやる気を真に引き出すために、ぜひとも押さえておきたい褒め方のポイントや注意点についてお話したいと思います。
効果的なほめ方のポイントは4つあります。
- 注意するのは、ある程度ほめ言葉がたまってからにしましょう
- 褒めるときは人を介して行う
- みんなの前でほめる
- プロセスを褒める
注意するのは、ある程度ほめ言葉がたまってからにしましょう
最も効果的なバランスは、褒めることと注意することの比率が9:1であることです。
褒めるのが9割、注意するのが1割という順番です。
上司として注意したいことがあっても、褒める材料がある程度揃うまでは、我慢できることは我慢しましょう。
気をつけたいのは、今注意しないと逆効果になることもあるということです。
例えば、
- 取引先に緊急性の高いミスをしてしまった場合
- 他メンバーに勤務態度などで不愉快な思いをさせている場合
などです。
褒めるときは人を介して行う
直接褒めるのではなく、人を介して褒めるのも効果的です。
誰かが「●●さんはこんなことを言って褒めていましたよ」と言うと、たとえ大げさな褒め言葉であっても、間違いなく受け取ってもらえるはずです。
みんなの前でほめる
褒めるときは、MTGやミーティングなど、できるだけ多くの人がいる場所で行いましょう。
上司やマネージャーが褒めればと、他のメンバーも一緒になって褒めてくれる相乗効果が期待できます。
プロセスを褒める
プロセスを褒めるためには、メンバーの仕事ぶりを観察する必要がありますが、これは効果的な褒め方といえます。
仕事の結果を褒めるのではなく、
- 君は●●でよく頑張ったよね。
- 君が資料を改善してくれた部分が相手にとって好判断材料になったんだね
といったように、途中のプロセスを褒めることで、部下は「自分の頑張りをちゃんと見てくれているんだな」と感じることができます。
まとめ
部下やメンバーのモチベーションを上げる方法|上司が行うべき3つのアクションをお届けしました。
部下のやる気を引き出すために、明日からぜひ実践していただきたい3つのアクションをお伝えしました。
そのポイントと期待される効果を、改めて確認してみましょう。
- メンバーの達成動機をチェックし、どのような仕事を与えるべきかを知る。
- 仕事の意味を共有する=社会的使命感を持ってもらう。
- 正しく褒めること。これは直接的なモチベーションアップにつながります。
これらのアクションを実践することで、以下のようなモチベーションの好循環を生み出すチームに生まれ変わりたいと考えています。
皆さんもこれらの行動を実践して、以下のようなモチベーションの好循環を生み出すチームに変身してください。