部下の業績が上がらない理由|アンダーマイニング効果

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この記事を読まれている方のなかには、

「高額なインセンティブを用意しているのに、部下が業績目標を達成できない」

と悩んでいる上司は多いのではないでしょうか?

なかには「目標達成できない」と判断した瞬間、やる気を失ってまったく仕事をしなくなる部下もいるかもしれません。

報酬を設定しているのにも関わらずモチベーションがダウンしてしまうのには、

「アンダーマイニング効果」

と呼ばれる心理が絡んでいます。

アンダーマイニング効果は部下のマネジメントに役に立つ心理学として知られています。

アンダーマイニング効果を応用し、部下のパフォーマンスを引き出しましょう。

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アンダーマイニング効果とは?

アンダーマイニング効果について説明するまえに、人がやる気を起こす背景には「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」があるということを解説します。

内発的動機づけ

興味や意欲に動機づけられている状態(目標を達成することで得られる社会的意義、仕事によって自己の成長を感じられるなど)

内発的動機づけの例…社会的意義のある商品を販売することで社会貢献ができる。

外発的動機づけ

…評価、賞罰、強制など人為的な刺激により動機づけられている状態(目標達成で得られる金銭的報酬、達成により名誉を与えられ称賛されるなど)

内発的動機づけ・外発的動機づけともに、実際のビジネスの現場では部下マネジメントで使うケースも多いと思います。

外発的動機づけの例…商品販売の目標を達成できたら20万円のインセンティブがもらえる。

アンダーマイニング効果とは「外発的動機づけが内発的動機づけを打ち消してしまう現象」のことを指します。

アンダーマイニング効果が働くと?

アンダーマイニング効果が働くと、もともと内発的動機づけで働いていた部下が報酬がもらえなくなった瞬間、社会貢献の意義を忘れてしまい「まったく仕事をしなくなる」という状態に陥ります。

まさに、外発的動機づけが内発的動機づけを打ち消してしまう瞬間です。

アンダーマイニング効果については、名古屋大学などが共同発表している以下プレスリリースにも興味深い記事がありましたので、是非参考にして頂ければと思います。

「人は成果に応じた報酬が自発的な意欲を高めるという強い信念を持っている。しかし心理学の研究では、その信念が誤ったものであることが明らかとなっている/アンダーマイニング効果」

参考文献:名古屋大学/高知工科大学/同志社大学プレスリリース
報酬の効果に関する世間の誤解は根深い

【興味深い】アンダーマイニング効果の実験

アンダーマイニング効果が実際に人の心理をどう動かしているのか、興味深い実験結果をご紹介したいと思います。

下記は玉川大学の脳科学研究所が実施した実験の結果です。

この実験では、大学生の男女28名を2グループに分け、それぞれストップウォッチを使った実験をやってもらいました。

・実験内容…ストップウォッチを5秒で止める実験。課題終了後に自由時間を与え、各グループがどのような行動をとるのかをウォッチする

・Aグループ…±0.05秒以内で止めたら200円の報酬を与える

・Bグループ…実験に成功しても報酬なし

上記の実験結果は、報酬を与えられたグループは自由時間になると作業をやめたのに対し、報酬なしのグループは「自主的に実験を続けた」という結果が出ました。

報酬を与えられたグループは自由時間になると作業をやめたのに対し、報酬なしのグループは「自主的に実験を続けた」という結果が出ましたの画像|アンダーマイニング効果から考えるモチベーションコントロールの方法|KEN'S BUSINESS(ケンズビジネス)

つまり、Aグループは「5秒で止める」という面白さより「報酬をもらえることが目的」になり、Bグループは「5秒で止める」という課題や使命感が目的で作業を続けたということになります。

「インセンティブがもらえなくなるとわかった瞬間に仕事をしなくなる部下」と同じです。

参考文献:玉川大学脳科学研究所 「お金がやる気を失わせる」脳のしくみを解明

インセンティブによるマネジメントは続かない

結論からいえば、インセンティブによるマネジメントには継続性がなく、やがてアンダーマイニング効果により、「本来の意義」が忘れ去られていきます。

部下をやる気にさせるマネジメント方法として、「高額なインセンティブを与える」方法は一時的に効果を生みます。

高額なインセンティブを設定する業界、たとえば「不動産業界」などでは一部の企業で「稼げなくなったら辞める」といった人材流出が続くのは、この心理が背景にあるのかもしれません。

ここからは、過剰なインセンティブを設定した場合のマネジメント課題の解決について解説します。

【解決!】部下のモチベーションを維持する方法

部下のモチベーションを保つには、内発的動機づけを維持しなければなりません。

内発的動機づけについておさらいしましょう。

内発的動機づけとは、興味や意欲に動機づけられている状態(目標を達成することで得られる社会的意義、仕事によって自己の成長を感じられるなど)のことをいいます。

内発的動機づけを維持するやり方として、毎月の目標達成に応じてインセンティブを設定したり、業績に応じて賞与に反映したりする方法は使い方により効果的です。

内発的動機づけを維持するには、どのようなマネジメント方法が最適なのでしょうか?

内発的動機づけを維持するインセンティブ運用方法

内発的動機づけを打ち消さないような報酬を考える場合、「100%達成した場合の報酬比率をできるだけ下げること」がポイントになってきます。

具体的な例でいくと、これまで業績目標100%達成で20万円というインセンティブを設定していた場合は、以下のように変更してみることをおすすめします。

・目標達成率80%…この段階で1万円のインセンティブがもらえるようにする

  •  〃  100%…5万円のインセンティブ支給
  •  〃  125%…10万円のインセンティブ支給
  •  〃  150%…20万円のインセンティブ支給

上記のように100%達成のインセンティブ額の比重を下げると、内発的動機づけを打ち消す要素が少なくなります。

また、80%達成でも少しばかりの報酬がもらえるため全体的なボトムアップも図れるようになります。

150%以上の達成率を叩き出せる部下はそういないため、トータルでは人件費を抑えることも可能です。

定期的な部下との面談とフィードバック

結論からいえば、部下と定期的な面談とフィードバックが「モチベーション維持」には必要です。

報酬や称賛だけで部下をマネジメントする方法は、ある意味「楽」です。

達成したらお金がもらえるわけですから、きめ細やかな部下フォローをしなくても、達成しているあいだは部下も機嫌よく働いてくれるでしょう。

しかし、これでは本当のマネジメントとはいえません。

前述のとおり、報酬がなくなった瞬間に手のひらを返したように部下は去っていきます。

このような状態を避けるには、「内発的動機づけを継続しておこなう」しか方法はありません。

つまり、当初部下自身が抱いていた「入社の動機」「どんな仕事をやりたいのか?」といった「本来部下が持っていた内発的動機づけ」を思い出してもらうことが大切なのです。

そのためには、実績評価に関する面談だけではなく「評価以外の個人面談」が非常に重要になってきます。

いわゆる1to1ミーティングです。

1to1ミーティングのやり方については、ほかの記事で解説していきたいと思いますが、内発的動機づけを思い出してもらうためには「実績については一切話さない」といった面談も、ときには必要になるかもしれません。

まとめ|「上司が仕事の意義を語れるか?」がポイント

部下のモチベーションをコントロールするためには、お金だけではなく本来部下が持っていた「内発的動機づけの維持」が非常に重要であることはご理解頂けたかと思います。

部下マネジメントをするうえで、「上司が夢を語る」「仕事の意義を語る」ことは不可欠です。

部下に仕事の意義を感じてもらうためには、まずは上司が仕事を楽しんで、「なんのために仕事をしているのか、自ら実践していくこと」が何より重要なのかもしれませんね。

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