Hondaには「改善提案制度」があり、社員一人一人が創意工夫をして、さまざまなことに自分の考えを実践することを奨励しています。
1953年12月10日にスタートしたこの活動は、自ら率先して業務改善を行う習慣を身につけることで、自己の能力開発につなげることを目的としており、優秀な「改善提案」は表彰されます。
Honda流の改善提案の具体例は、生産システムにおける「製造方法の標準化」であると言われており、現場ごとに異なる流儀を認めていません。
Hondaが目指しているのは「製造方法の標準化」です。
どこの会社でも同じだと思いますが、同じ会社なのに
- 本社
- 支社
- 事務所
ごとに事務処理方法が違っていたら効率が悪くなるのは当然です。
当然、無駄が多くなり、時間とお金のロスが発生するので、すべてを同じように改善しようとするもの。
皆さんの会社はどうでしょうか?
手戻りが発生しないように現場を改善する
会社である以上、人事異動はあります。
フロントラインの社員が変わるたびに管理方法を変えても、フロントラインが混乱するだけでメリットはありません。
Hondaにおいて「手戻り」はNGなのです。
手戻りが発生しないように、管理方法を策定する段階で、考えられる可能性をすべて洗い出して、周囲の人を巻き込んで議論します。
いわゆるこれがHondaの「ワイガヤ」というやつです。
宗一郎の理念が末端にまで行き届いている会社がHonda
次に、Honda流の改善方法は「自立型」の職場づくりにも現れています。
従業員が現場改善のためのテーマを探し、自分で改善できるような視点や感性を磨いていけるように、上席から末端の社員にまで徹底的に「改善提案」の精神が行き届いています。
Hondaでは社員が自主的に改善できるように、人材育成のシステムがかなり上手く機能しています。
誰かに任されて改善するのではなく、自分で改善案の具体的な事例を探していく。
それが日常的に行われているのです。
改善案を具体的に形にするためには、自分の感性を磨くことが重要であり、そのためにも精神的・立場的な自立が必要です。
さらに、社員の改善提案を具現化するためにチーム一丸となって取り組める雰囲気が醸成されているのも印象的です。
Hondaの改善提案は、勤務時間中にグリーン色の改善提案用紙を提出し「私の記録」として残すことになっています。
「私の記録」というのは、入社時に配布される小さなノートです。
「なぜなぜ分析」のHonda
Hondaは、600名の品質担当者を対象に定期的になぜなぜ分析を学ぶ研修を実施しています。
なぜなぜ分析の“型”を学ぶために、演習問題を多く盛り込んだホンダ独自のテキストまで用意する周到ぶりです。
そのテキストはなんと80ページを超える量です。
なぜなぜ分析とは、ある問題に対してその問題を引き起こした要因(“なぜ”)を提示し、その要因を引き起こした要因(“なぜ”)を提示することを繰り返すことで、その問題の対策と、対策の有効性を検証する手法です。
もしかすると、皆さんの中には社用車の事故で「なぜなぜ分析」をやった、嫌な記憶をお持ちの方がいるかも知れませんね。
まず、問題となる事象を提示する。このとき、次に提示する『なぜ』との論理的なつながりを明確にするため、問題点を絞っておくことが望ましい。
次に、その事象が発生するに至った要因を提示する。これが1回目の『なぜ』である。要因はひとつだけとは限らない。また、事象に対して、論理的なつながりがなければならない。
次に、各要因ごとに、それが発生するに至った要因を提示する。これが2回目の『なぜ』である。1回目と同様、ひとつだけとは限らず、また、論理的なつながりがなければならない。
同様にして、3回目の『なぜ』の提示、4回目の『なぜ』の提示…を繰り返していく。
Wikipedia:なぜなぜ分析
Hondaは、生産現場の問題解決のためになぜなぜ分析を活用してきた実績があります。
皆さんの日頃の業務における改善に、なぜなぜ分析を活用してみませんか?
まとめ
今回、Hondaの改善提案についてご紹介しました。
問題を確実に改善・解決していこうとする姿勢は、製造業や航空業界に強くあります。
ゆえに、社員一人ひとりに時間単価の意識と安全、顧客意識といったものが根付いており、日頃のオペレーション業務もシンプルで洗練されています。
皆さんの会社はどうですか?
会社全体でなくとも、皆さん一人ひとりが日々の営業活動で出現してくる問題一つひとつを、なぜなぜ分析といった思考法を活用して改善していけば、極めて高いパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。