哲学者のマーク・ローランズは、一匹のオオカミと暮らす中で人間とは何かを再考しました。
社会的動物は自分のことだけではなく、他の個体間の関係も見抜かなければなりません。
そして集団で生きるなかでは、なんとか自分が得をする方法を模索します。
低コストで大きなリターンを得るには、相手を騙す能力が基礎になります。
朝礼のポイント|嘘であふれた現代に流されるのもいい
サルの知能は、嘘をつく能力と嘘を見抜く能力の発達で加速しました。
「人間の知能は決して美しいものではない」と彼は言います。
昨今では、コミュニケーションが苦手な人のことをコミュ障と言います。
いま、コミュニケーションがうまくできないことで苦しんでいる人たちは、おそらくこの「嘘をつく、嘘を見抜く」ことが苦手なように感じます。
ある大学生は「もともと人とのコミュニケーションが苦手で、大学に入ってプログラミングに出会いのめり込みました。
「プログラミングはプログラム通りにしか動かないのがいい」と語っていました。
きっと彼は素直に生きていたのだろうと思います。
「意図的に嘘をつく」「嘘だと思いながら相手の話しを聞く」そういったコミュニケーションが苦痛だったのかもしれません。
子どもの時は嘘をつくと怒られます。
しかし、世の中のコミュニケーションは嘘で溢れています。
むしろ、うまく嘘を扱える者の方が高度な人間関係を構築できるようにも思います。
そうした理想と現実のギャップが、いわゆる正直者や素直な人を苦しめているのかもしれません。