今回は、朝礼ネタになりそうなお話でありつつ、実はあなたの職場に深く関わる部分のお話でもあります。
さっそく見ていきましょう。
クリップ一個の値段
さて、あなたはクリップ一個あたりの値段をご存知でしょうか?
クリップの一個あたりの値段は1円以下です。
あなたの人件費
年収600万円のビジネスマンを例にして考えてみましょう。
年間2000時間働くとして、1時間あたりの人件費はおよそ3000円です。
1分間に換算すると50円の人件費となります。
1秒に換算すると、およそ0.8円の人件費です。
床に落ちたものを拾い上げるコスト
それでは床に落ちたクリップを拾う場合のコストについて考察してみましょう。
先ほど、年収600万円のビジネスマンが1秒ごとにかかる人件費は0.8円という計算が出ました。
床に落ちたクリップを拾い上げるのに3秒の動作がかかれば、年収600万円のビジネスマンが拾うコストは約2.5円です。
今回のお話は、1円以下のクリップに2.5円のコストをかけることはどうなの?という疑問を投げかけています。
クリップを落としたくらいで、それ以上のコストを掛けて拾い上げてはいけないということです。
日本の労働生産性との関係
公益社団法人 日本生産性本部が発表した資料「日本の労働生産性の動向 2020」によれば、
1.日本の時間当たり労働生産性は46.8ドルで、OECD加盟36カ国中21位。
OECDデータに基づく2018年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、46.8ドル(4,744円/購買力平価(PPP)換算)。米国(74.7ドル/7,571円)の6割強の水準に相当し、順位はOECD加盟36カ国中21位だった。名目ベースでみると、前年から1.5%上昇したものの、順位に変動はなかった。主要先進7カ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。
公益社団法人 日本生産性本部 https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html より
ご覧の通り、日本はあまり生産性が高くないようですね。
日本の労働生産性がOECD加盟国の中で36カ国中21位と低いのは、落ちたクリップを拾い続けているような仕事をしているからなのでは?と感じられます。
このような状況を踏まえれば、今回の「床に落ちたクリップを拾うコストはあなたの人件費より高い」という話がまことしやかに言われているのも納得がいくでしょう。
ラテマネーという言葉
ラテマネーという言葉をご存知でしょうか?
ラテマネーは結論からいえば、何気なく使っているお金のことです。
語源は、アメリカで人気を誇る資産アドバイザー、デヴィット・バック氏が考案した造語です。英語では、「The Latte Factor」といいます。
あなたは毎朝や昼食、帰りのタイミングなどでコーヒーなどを買っていますか。
金額的にコーヒーというのは一杯100円程度ですが、塵も積もれば山となるということわざがあるように、月に換算すると結構な金額となっている場合があります。
この概念は経営学上でなんというの?
こういった概念に興味がおありですか?クリップのお話やラテマネーといったお話の概念はアクティビティコストといわれます。
コストパフォーマンスの意識を身に着けよう
床に落ちたクリップを拾うな、といったお話の本質は「コストパフォーマンス」について示唆を与えるものです。
拾うことがそもそも起きないようなデスク上の整理整頓が求められますし、オフィスの中だけでなく、就業時間中におけるあらゆる部分のコスト管理に意識を向けましょうということを伝えています。
縁があって、とある工場でコンサルを依頼された時には、特に人間の作業動作の効率に注意を払っていることを目の当たりにしました。
また、人間の動作を効率化させるためにモノの配置や導線を変更するなどをしていました。
工場では作業する人間の動作を効率化することによって、生産数を上げられます。しかも、その成果は「一日の生産数」という形ではっきりと分かります。
このような特性をもつ工場系は総じて「改善活動」と称して、従業員の作業動作(生産性向上)について仔細(しさい)に注意を払っています。
ですが、オフィス系などの職種はどうでしょうか。
営業系なら営業成績という形で目に見えますが、事務系などはなかなかコストとして数値化できず、効率が反映されているかどうか分かりづらい面があります。
ぜひ、この記事をきっかけにあなた自身を含めた職場のコストパフォーマンスについて目を向けてみませんか。
KEN’S BUSINESSブログでは、あなたのパフォーマンスを引き出す数々の記事を用意しています。
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