「自分の意見を押し付けて部下の意見は全く聞かない」
「指示したことを棚にあげて、時間がたてば違ったことを指示してくる」
「気分屋で、気に入らないことがあったら不機嫌になる」
こんな上司は、どこの職場でもいるものです。
ただ「上司とウマが合わないから」といって、逃げ出してばかりでは、不毛な転職や異動を繰り返すだけです。
考え方ひとつで、気に入らない上司もプラスに変えることが可能です。
今回、KEN’S BUSINESSブログでは独自アンケートを実施し、実際にウマが合わない上司を攻略した100人の意見のなかから、困った上司の対応で役に立ついくつかのアドバイスをお届けします。
結論|ウマが合わない上司は自分のために利用すべし!
これは、有名な著書「人を動かす」でD・カーネギーが語った言葉です。
冒頭でお伝えしたような「残念な上司」と一緒に仕事をするのは辛いものがありますが、ウマが合わない上司とうまくやっていくには、結局のところ「上司が欲しがっていることを先回りして実践する」という方法が最善です。
ただ、この言葉を聞いても「ウマの合わない上司の言うことを聞かなきゃいけないの?」というのが、この記事を読んでいる人のホンネでしょう。
たしかに、無能な上司や経営幹部のYESマンになっているような上司に振り回されるのは時間の無駄です。
しかし、組織人として生きていくためには、どんなに逃げてもどこかに嫌いな上司はいるものです。
そこは、考え方を少し変えて「ウマの合わない上司を利用する」ことに徹してみましょう。
上司を利用するとこんな効果が生まれる
のちほど、当サイトが独自に調査した100人アンケートのなかから、明日からでも使えるいくつかの情報をお届けしますが、アンケート回答のなかでも最も多かったのが、「上司を利用してプラスに変える」という方法でした。
たとえば、これまでストレスを感じていたような上司を利用することで、以下のような効果を得た人もたくさんいます。
ダメ出しをしてくる上司に対抗するためにITスキルを徹底的に磨いた。
その結果、上司から怒られることもなくなり、結果別の部署に異動できた
いつも怒っている上司を冷静に見て、その人の良い所を見つけるように努力した。
その結果、人の良いところをすぐに見出せるスキルが身に付き、いまの部下育成にも役立っている。
細かい上司にうんざりしていたが、指示内容について細かく確認し上司の期待に沿えるように努力したことで、別の視点も身についた。いまではその上司にも感謝している
1週間に嫌いな上司と45時間一緒に働くとして、1ヶ月に180時間をウマが合わない上司との時間に浪費するのは耐えられないことです。
しかし、何度も申し上げるとおり嫌いな上司から逃げるには異動させてもらうか会社を辞めるかありません。
自分に人事権もなく辞める勇気もないなら、いっそのこと考え方を変えてみましょう。
ウマが合わない上司を攻略した100人の意見結果
転職しても人間関係の満足度は下がるという事実!
ここで、少し興味深いアンケートの調査結果がありましたので、ご紹介したいと思います。
このアンケートでは「職場の人間関係全般」についての設問が多いのですが、おおむね「上司と部下との関係」でも同じ結果が出ています。
人間関係が不満と答えた人は50%!転職して人間関係が良くなった人は21%!
このアンケートは、人材コンサルティング会社大手の「エン・ジャパン株式会社」が実施したものですが、職場での人間関係について約半数が「不満である」と回答しているのに対し、人間関係が理由で転職しても、全体の79%のひとは「変わらない、または以前より下がった」と回答しています。
つまり、「どこの会社に行っても、嫌いな上司はいる」「どうせいるならプラスに変えていこう」と思うのが得策なのです。
エン・ジャパン株式会社アンケート結果「仕事での人間関係について」
◆現在の職場における人間関係の満足度を教えてください。
- 不満である…全体の33%
- 大変不満である…全体の17%
◆仕事において誰との人間関係に悩んでいますか?
- 上司…全体の57%
◆人間関係を理由に転職を考えることはありますか?
・そう思う…全体の57%
◆転職によって人間関係の満足度はどう変化しましたか?
- 変わらない…全体の55%
- 以前より下がった…全体の24%
- 以前より高まった…全体の22%
100人アンケートから見た嫌いな上司を利用する方法
では、具体的にはどんな上司攻略法があるのか、今回実施した100人アンケートからタイプ別の上司攻略法をいくつかご紹介していきます。
タイプ①人の意見を聞かない上司
このタイプがもっとも多い上司のタイプかもしれません。
上司の意見が正しいならともかく、このタイプの上司に限って間違ったことを押し付けてくるケースもあり、かなり厄介です。
53歳 女性 業種:広報
質問①どんな上司でしたか? 自分は仕事ができ「自分のやり方がもっとも正しい」と思っているタイプ |
質問②その上司の攻略法を教えてください 細かい点まで進捗を逐一確認してくるのがうっとうしいので、進捗をメールでデイリーに報告するようにしました。やたらと声をかけられることがなくなりストレスは軽減。仕事の段取り力も向上しました |
質問③その結果、どんなプラス効果が得られましたか? ウマが合わない上司に無理に合わせようとしても、なかなか難しいもの。そんな無駄な努力をせず、できるだけ接触機会を減らせる工夫をしてみたらいかがでしょうか。付き合い方次第で自分のスキルもあげられます |
部下の意見を聞かない上司は、「部下の仕事を信用していない」というケースが多いのかもしれません。
この回答例にあるように、面倒くさくてもきめ細やかな上司への報告を続けていけば、そのうち上司も信用してくれ耳を傾けてくれるに違いありません。
タイプ②気分屋ですぐに怒る上司
私生活に問題がある…、または上司自身が上役から指摘されたあとなど、部下に当たり散らす上司もいます。
45歳 女性 業種:その他
質問①どんな上司でしたか? 気分屋で、奥さんと喧嘩をすると周囲に当たり散らす上司 |
質問②その上司の攻略法を教えてください 本意ではありませんでしたが、できるかぎり誉めることにしました。ネクタイの趣味だったり、さりげない言葉の言い回しなどを誉めるようにしたり。そうするとかなり上機嫌になり、周囲に対して当たり散らすようなことはなくなりました。それまでは、お茶の出しかたが悪いとか、姿勢がなってないとか、訳のわからないことで怒鳴られてばかり。おかげで怒鳴られる回数も減りましたし、ストレスなく働くことができるようになりました。 |
質問③その結果、どんなプラス効果が得られましたか? まずは、その人となぜウマが合わないのかと考えてみることです。そして、単に嫌うのではなく、その人と上手く付き合っていく方法を見つけることが大切です。 |
気分屋な上司は、結局のところ「寂しい」のかもしれません。
「認めてほしい」「かまって欲しい」という欲求を満たしてあげると、意外ウマの合わない上司とうまくいくことが多いようです。
タイプ③ひたすらYESマンで幹部からのウケはいい上司
経営幹部からのウケはよく、さらに上層部の言うことは聞くので社内では重宝がられるタイプ。
しかし、上から言われたことをそのまま部下に伝えてくる「パススルータイプ」の上司も厄介です。
35歳 男性 業種:営業
質問①どんな上司でしたか? 上ばかり見て、下は自分の手ごまと考えるタイプ |
質問②その上司の攻略法を教えてください その上司は、上を見ていたせいか、上層部には受けがよかった。そこで、個人的には全く尊敬できなかったが、自分のやりたい手段で組織目的を実現するため、根回しを十分にして成果につなげた。以降、根回しのプロと呼ばれるようになり、万事上手くいくようになりました |
質問③困った上司に悩んでいる人にひと言アドバイスをください 「艱難辛苦、汝を玉にす」いまは辛くても、そこを突き抜けると、大きく成長した自分に気づきます。上司はいつか引退、転勤等でいなくなります。数年後の上司がいなくなった職場で、成長した自分がバリバリ仕事をしているイメージを持って、前に進んで下さい |
どんなに嫌な上司でも、ほとんどは5年以内に離れるケースがほとんどです。
ウマが合わない上司が原因で精神的に病んでしまうくらいなら、割り切って付き合うほうがいいでしょう。
タイプ④細かい指示ばかりを出してくる上司
部下を信用せずに、細かいチェックを繰り返ししてくるタイプです。的確なアドバイスをしてくれるならともかく、嫌がらせのようなチェックをされるとうんざりです。
28歳 女性 業種:管理
質問①どんな上司でしたか? 何事も細かく、融通の利かないタイプ。言葉もきつく気分屋で、気にいらない部下には嫌がらせをしたりもあったので、同じ部署の先輩方は少し距離を置いて接している雰囲気でした |
質問②その上司の攻略法を教えてください 仕事中に分からないことは必ずその上司に聞きました。休憩中も常に明るく笑顔で接し、距離を縮めました。最初は取り合ってくれず、余計に叱られたり、鬱陶しいと無視されたりしましたが、私が何を言ってもくっついてくることに諦めたのか、少し言動が柔らかくなり、仕事も助けてくれるように。 毎日、出勤前に胃が痛くなるほど苦手な上司でしたが、異動時の送別会で挨拶をした際は、涙でしゃべれないほど愛情をもって育ててくれた上司です。私が退職後も時々連絡をくれるほど気にかけてくれました。 |
質問③困った上司に悩んでいる人にひと言アドバイスをください 上司をよく観察したら、少しでも快適に仕事ができるヒントがあるかもしれません。上司に対する苦手意識を捨てたら、案外うまくいくこともあります。好きなところ、尊敬できることを見つけられるよう、応援しています。 |
上司が細かい指示をしてくる原因は、「部下のことを思って指示をする」「間違っていると自分が恥をかくから」などさまざまですが、前者のタイプが多いのではないでしょうか。
普段のコミュニケーションのなかから上司のホンネを探ってみることからはじめてみてもいいでしょう。
タイプ⑤すぐにマウントをとりたがる上司
部下の気持ちも考えずにデリカシーのない言葉を投げかけてくるタイプ。
こんなタイプは単純な考えの上司が多いので、徹底的に利用するのもひとつの方法かもしれません。
33歳 男性 業種:人事
質問①どんな上司でしたか? マウンティング気質で常に自分が優位に立っていることを無駄にアピールしてくる。「俺レベルだと~」が口癖 |
質問②その上司の攻略法を教えてください その上司には全く共感できるポイントがないが、とりあえず持ち上げて、”あなたに共感しています”というのを見せる。すると上司の気分がよくなり、上司のほうから雑用などの頼みごとをされるようになる。そうすることで上司に貸しを作っておくと、こちらが仕事で誰かに相談したいときなどは頼りやすくなる。自分の実績向上のために上司の同行をお願いする場合などは依頼しやすくなり、結果としてチーム内でトップの成績を上げることができた |
質問④困った上司に悩んでいる人にひと言アドバイスをください 上司に刃を向けても自分にとってメリットはないと思うので、腹の中の気持ちは抑え込んで、本人の前では「私はあなたを尊敬してますよ」っていう雰囲気を出すほうが世の中渡りやすいと思います。相手も嫌な気はしないと思いますし。最近の若い人達は思っていることを口に出したり、態度で示したりします。ただ、基本的には先輩・上司は自分より社歴が長く、前提として”敬う”という気持ちは持つべきだと思います。その気持ちがあれば、本人を前にしたら表面上はうまくやれるのではないかと思います。 |
まとめ
何度も申し上げますが、ウマの合わない上司はどこにでもいます。
ウマの合わない上司に尊敬できる部分がない以上、その上司を認められずに「ウマが合わない」状態は続きます。
ただ、ウマの合わない上司でもその立場にまで上り詰めたということは、スキルなり人脈なりなんらかの理由があるはず。
今回の記事でご紹介したようなテクニックを使って、一度上司の「良いところ」を観察してみてはいかがでしょうか。
それでも解決できないほど使えない上司なら、そのときは転職か異動を強く考えたほうが身のためです。