観葉植物を何度も枯らす人と、報連相が続かない人は、根っこが同じ ―― 現場20年で見えた「続けられる人」の共通点

オフィスの受付や休憩スペースに置かれた観葉植物が、気づけば葉先から茶色くなっていて、しばらくすると別の鉢にそっと入れ替わっている。そんな光景を、この20年でいったい何度見てきたか分かりません。誰か一人のせいというわけでもなく、水やり当番を決めてもいつのまにかうやむやになり、「今度こそ枯らさないようにしよう」と言いながら、また同じことが起きる。

一見、植物とは何の関係もなさそうな話をこのサイトで書いているのには理由があります。この「なぜか続かない」という現象の裏側にあるものが、職場での立ち回りとまったく同じ構造をしていると感じているからです。挨拶や日報、机の片付け、後輩への声かけ――続けていれば確実に信頼につながるはずの小さな習慣が続く人と続かない人がいて、その差は、観葉植物の水やりが続く人・続かない人の差と驚くほど似ています。

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枯らし方にも「タイプ」がある

観葉植物を枯らしてしまう人を見ていると、実は原因は一つではなく、大きく3つのタイプに分かれるように思います。一つ目は、単純に忙しくて水やりどころではなくなる「忙しさ型」。二つ目は、逆に構いすぎてしまう「構いすぎ型」で、水をやりすぎたり、置き場所を頻繁に変えたりして、良かれと思ってやったことが裏目に出るタイプです。三つ目は、玄関の隅など目につかない場所に置いたまま存在を忘れてしまう「環境放置型」。水やりの知識がないのではなく、自分の生活スタイルと植物の置き方・付き合い方が噛み合っていないだけ、というケースがほとんどです。

この3タイプで考えると、「また枯らしてしまった」という反省の中身も変わってきます。それは性格の欠陥ではなく、自分がどのタイプで、今の環境やペースとどう相性が悪かったのか、という話に置き換えられるからです。

「水をやるだけ」が、なぜこんなに続かないのか

3タイプにはそれぞれ、心理学で語られる継続の壁がそのまま当てはまります。「構いすぎ型」の背景には、完璧主義が継続の妨げになるという指摘があります。「毎日欠かさず、きちんとやる」と決めてしまうと、一度サボった時点で「もう失敗した」と感じて手を止めてしまう。むしろ「できる限り続ける」くらいの緩さで取り組んだほうが、結果的に長続きすると言われています。

一方「環境放置型」の背景にあるのは、行動のきっかけ、いわゆるトリガーの弱さです。「気が向いたら水をやる」という決め方では、気が向く瞬間はなかなか訪れません。「歯を磨いたら鉢を見る」のように、すでにある習慣に新しい行動をひもづける方法(いわゆるif-thenプランニング)は、行動につながりやすいことが研究でも示されています。そして「忙しさ型」は、頭では「やったほうがいい」と分かっていても目の前の業務に押されて体が動かない、いわゆる意図と行動のギャップにそのまま当てはまるタイプだと言えます。

職場の「小さな習慣」も、同じタイプ分けでつまずいている

同じ3タイプは、職場のちょっとした習慣にもそのまま当てはまります。朝の挨拶、日報の一行、使った資料を元の場所に戻すこと、月に一冊本を読むといった自己研鑽――どれも一回サボったところで即座に評価が下がるわけではなく、逆に一回やったところで劇的に褒められるわけでもありません。だからこそ「今日はいいか」が積み重なりやすく、気づけば数ヶ月やっていない、という状態になりがちです。

「忙しさ型」は、繁忙期に声かけや日報が真っ先に後回しになる人。「構いすぎ型」は、中途半端にやるくらいなら最初から気合を入れて完璧にやろうとして、かえって息切れしてしまう人。「環境放置型」は、やろうと思っていたこと自体を業務の流れの中で忘れてしまう人です。これは根性や意欲の差ではなく、観葉植物の水やりと同じで、自分のタイプと、今の仕事のやり方が噛み合っていないだけであることが、私がこれまで見てきた限りではほとんどでした。

現場20年で見えた、「続けられる人」の共通点

部下や後輩を見てきた中で、小さな習慣を続けられる人にはいくつか共通点がありました。ひとつは、続けられる人ほど「今日はやらない日」を自分に許していたことです。日報を毎日きっちり書く人より、忙しい日は一行だけ書いて終わらせる人のほうが、結果的に一年後も続いていました。これは「構いすぎ型」が陥りやすい完璧主義から、あらかじめ距離を取っていたとも言えます。もうひとつは、新しい行動をゼロから始めるのではなく、すでにある行動にくっつけていたことです。たとえば「朝一番のメール確認の前に、机の上を一分だけ片付ける」というように、既存の流れに小さな行動を差し込んでいた人は、特別な意志力がなくても継続できていました。これは「環境放置型」がつまずきやすいトリガー不足を、自然に補う工夫だったのだと思います。

逆に続かなかった人の多くは、「よし、今日から毎日必ずやるぞ」と気合を入れて始めていました。最初の数日はうまくいくのですが、一度でも途切れると「もう意味がない」と感じてそこで完全にやめてしまう。これは本人の根気の問題というより、そもそもの始め方が自分のタイプに合っていなかったのだと、今なら分かります。こうした「続けられる/続けられない」の差が、そのまま周囲からの見え方にもつながっていく話は、気づけば「できる人」から辞めていく職場だったで書いた内容とも重なる部分があります。

明日から使える、タイプ別のハードルの下げ方

自分がどのタイプに近いかが分かれば、対策はシンプルになります。「忙しさ型」の人は、行動を「もう笑ってしまうくらい小さく」設定すること。水やりなら「鉢の土を触るだけ」、日報なら「今日の出来事を一文だけ書く」。ここまで下げておけば、忙しい日でもハードルを越えられます。「構いすぎ型」の人は、一日サボっても「連続記録が途切れた」と考えないこと。続けるとは毎日完璧にやることではなく、やめる頻度を下げることだと考えると、驚くほど気が楽になります。「環境放置型」の人は、既存の習慣にくっつけること。コーヒーを入れたら鉢を見る、パソコンを閉じる前に日報を開く、というように、新しい行動の置き場所を自分で決めてしまうのがコツです。

こうした小さな立て直しは、疲れがたまりやすい週の後半にこそ効いてきます。この点は「水曜・木曜がいちばんしんどい」は気のせいじゃないでも詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。

枯れかけた観葉植物を前に「またやってしまった」と落ち込む必要はありません。それはあなたの意志が弱いからでも、性格が悪いからでもなく、自分のタイプと続け方の設計が、たまたま噛み合っていなかっただけです。同じことは、挨拶にも日報にも、後輩への気配りにも言えます。完璧にやり続けることではなく、自分のタイプに合わせてやめる頻度を減らすことから、始めてみてはどうでしょうか。

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